生きづらいのは「生まれ持った性格」のせいなの?
![愛着障害 子育て](https://sola-counseling.com/wp-content/uploads/2017/08/72e03e016924d15b675d8346566e02b1_s.jpg)
何でもすぐ人に尋ねたり、
お願いができる人もいれば、
頼みごとや誘いを断ることが難しかったり、
人の顔色をうかがい過ぎて疲れてしまう人もいます。
同じ人間なのに、
なぜこんなに違うのでしょう?
断れない。
頼めない。
人の顔色が気になる。
本音を言えない。
なぜ、このような「生きづらさ」を抱えることになったのでしょうか?
「生まれ持った性格だから」
と言う方もいらっしゃいますが、
人間の性格の半分は生まれ持った個性、
そしてもう半分は、
育った環境の影響が大きいと言われています。
つまり、
個人差はありますが
持っている性格のうち半分は、育った環境の影響を受けている可能性があるということです。
「愛着(あいちゃく)」も、この「育った環境」が大きく関係しています。
今回は、
その後の人生にも大きく影響する「愛着」についてお伝えします。
「愛着」とは
![愛着 愛着障害](https://web.archive.org/web/20180822141313im_/https://i2.wp.com/sola-counseling.com/wp-content/uploads/2018/06/e637700bbbd0355089f1badc389a11df_s.jpg?resize=300%2C225)
愛着(アタッチメント)とは、
赤ちゃんの頃から
お母さん(またはその代わりとなる人)との間に育まれる
心の結びつきのことを言います。
そして、
子どもの頃だけでなく、
その子が成長してからも
その人の考えの奥底にあり、
考え方や行動に影響を与えます。
「愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)」には、
下記のように書かれています。
愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、
人格のもっとも土台の部分を形造っている。
人はそれぞれ特有の愛着スタイルを持っていて、
どういう愛着スタイルをもつかにより、
対人関係や愛情生活だけでなく、
仕事の仕方や人生に対する姿勢まで大きく左右されるのである。
「愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)」
心の土台ともいえる「愛着」。
一体どのようにして作られるのでしょうか?
愛着が形成される過程。~ボウルビィの愛着理論~
![愛着 親子関係](https://web.archive.org/web/20180822141313im_/https://i0.wp.com/sola-counseling.com/wp-content/uploads/2018/03/6c0ba3758ee142ab7e238b0f92c710d8_s.jpg?resize=300%2C200)
昔、孤児院の乳幼児の方が、
一般の家庭で育つ乳幼児よりも
病気の罹患率が高く、
身体的、情緒的な発達も遅いことが問題になりました。
このことについて、
ボウルビィは調査研究を行い、
母と子による母子相互作用が欠如していることが問題であり、
赤ちゃんが育つには、
少なくともひとりの養育者との親密な関係が大切であると報告しました。
この報告から発展したものが、
ボウルビィの「愛着理論」です。
愛着理論では、
愛着が形成される過程を4つの段階にわけています。
0~3ヵ月頃
赤ちゃんは誰にでも笑いかけたり、
無差別的な反応をする。
3~6ヵ月頃
特定の人物(愛着の対象:愛着対象)に関心を示す。
差別的な反応になる。
6ヵ月~2歳頃
人見知りが見られる。
愛着が形成される。
愛着対象を安全基地として、
一定の範囲で探索行動をしたり、
不安があると戻ってきたりする。
母子分離不安、後追いが見られる。
3歳以降
愛着対象のいない理由などを理解して、
短時間ならその場にいなくても、
「戻ってくる」という予測ができるようになり、
気持ちの安定が保てるようになる。
このようにして
愛着が形成される中で、
赤ちゃんは愛着対象をはじめとする
自分にとって重要な関係のある人との関わりを積み重ねながら、
「こういうときには、こうしたらいい」
という、その子独自の思考回路の土台となるものを作っていきます。
安定した愛着が形成されると
![愛着 親子関係](https://web.archive.org/web/20180822141313im_/https://i2.wp.com/sola-counseling.com/wp-content/uploads/2017/07/11d4d3603e33474677bd662338df603d_s.jpg?resize=300%2C200)
赤ちゃんと愛着対象との間に安定した愛着関係が作られると、
基本的信頼感などの心のベースとなるものが作られていきます。
そして、将来に渡り、
自分の気持ちを自然に伝えたり、
困った時は助けを求めたり、
その結果、ストレスが少なかったりと、
人間関係や仕事などにおおいて順調に進みやすくなります。
0~3歳頃の記憶には残っていなくても、
安定した愛着関係により得られたものは、
その後もずっとこころの中に残っているのです。
愛着障害とは
![愛着障害とは](https://web.archive.org/web/20180822141313im_/https://i0.wp.com/sola-counseling.com/wp-content/uploads/2018/03/9157f4aa75d683a3f7db3b18c73b4dda_s.jpg?resize=300%2C200)
赤ちゃんが、虐待や養育者が頻繁に変わるなどの環境で育った場合、
「愛着障害」と呼ばれる状態になることがあります。
愛着障害はDSM-Vという診断基準により、
大きく2つに分けられます。
ひとつは、
「反応性アタッチメント(愛着)障害」。
もうひとつは、
「脱抑制型愛着障害」
です。
反応性アタッチメント障害は、
人に対して非常に警戒します。
人との関係を避けたり、助けを拒否したりします。
一方の脱抑制型愛着障害は反対に、
過度に甘えたり、
知らない人でも近付いてなれなれしくしたりします。
また、頻繁に助けを求めたり、
注意を引こうとします。
どちらも「生きづらさ」と似ていると感じませんか?
![愛着障害](https://sola-counseling.com/wp-content/uploads/2021/02/1325238_s.jpg)
2つの愛着障害は正反対ですが、
両者とも
愛着がうまく形成されなかったことにより、
人に対して心を開くことが難しくなってしまい、
「人は信じられない」という思いが根底にあります。
愛着障害と診断されるほど重度でなかったとしても、
愛着が不安定な場合は、
子どもでも大人でも「生きづらさ」として現われてくることがあります。
・いつも相手に合わせてしまう。
・人との距離感がわからなくて、心を開けない。
・嫌われたらと思うと怖くて、本音を言えない。
・自分はダメだ・・と思ってしまう。
・助けてもらうことに躊躇してしまう。など
その人の愛着の形が、
生きづらさや人間関係の形に影響を与えるのです。
安定した愛着を育む子育てをしていますか?
![愛着を育む子育て](https://web.archive.org/web/20180822141313im_/https://i2.wp.com/sola-counseling.com/wp-content/uploads/2018/03/9648638c3352b5ef63e9df7b75dba04b_s.jpg?resize=300%2C225)
愛着を育むために、
等別なスキルは必要ありません。
「愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)」には、
下記のように書かれています。
愛着がスムーズに形成されるために大事なことは、
十分なスキンシップとともに、
母親が子どもの欲求を感じ取る感受性をもち、
それに速やかに応じる応答性を備えていることである。
子どもは、いつもそばで見守ってくれ、
必要な助けを与えてくれる存在に対して、
特別な結びつきをもつようになるのだ。
「愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)」
抱っこ等のスキンシップを大切にすること。
授乳やおむつ替えなど、子どもが求めていることに応えてあげること。
子どもの全ての欲求に速やかに応えてあげることは難しいかもしれませんが、
その気持ちはちゃんと伝わります。
子育てにおいて大切なのは、
ママの子どもに対する気持ちです。
頭ではわかっているけど難しい場合
![愛着関係 子育て イライラ](https://sola-counseling.com/wp-content/uploads/2018/03/35bb32069846fbe5f6ea9ea4616202fb_s.jpg)
もしも、子どもに対する「大切にしたい」という気持ちはあるのに、
応えてあげることが難しい場合・・・
例えば、
ママの気持ちが不安定だったり、
イライラして叩いてしまったり、
可愛がりたいと思ってもなぜか出来なかったり・・・
このような場合は、
実はそのママも
子どもの頃の心の傷を抱えていて、
どうしたらいいのかわからずに
そのような行動に至ってしまっている可能性があります。
なんとかしたいと頭では思っているのに、
感情のコントロールができなくなってしまっているのです。
悲しくつらい「負の連鎖」です。
私の所にはこのような方がよく来られます。
みなさん、とてもつらいのですよね。
子どもを叩いてしまったり、
可愛がることができなかったり・・・
やめたいと思っても
感情のコントロールができなくて叩いてしまったり・・・
可愛がりたい、大切にしたい、と言う気持ちはあるのに、
うまくできない。
苦しいですよね・・・
あなた自身も心の傷を抱えていて、
どうしたらいいのかわからない、
という気持ちを抱えていたら、
それは、
あなたひとりの責任ではないし、
あなたひとりで頑張る必要もありません。
助けを求めても大丈夫です。
私自身も
負の連鎖の経験者なので、
ママのつらい気持ちは痛いほどわかります。
ひとりで抱え続けないで、
メールでもLINEでもいいのでご連絡くださいね。
お話をゆっくり聴かせていただきます。
参考文献:愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)
![愛着障害 子育て](https://sola-counseling.com/wp-content/uploads/2017/07/0281b1837c5150f9471f55a410866d7f_s.jpg)