親が怖い・・

「またお母さんがイライラしている。
機嫌が悪いみたい。
愚痴を言ってきたから私が聞く。
昔からそう。
そんなときは意見をせずに
『そうだよね、ひどいね』
と言って、お母さんの味方になる。
もしそうしなかったら、
お母さんは不機嫌になってしまう・・
『どうして~しないの!』
『そんなことはやめなさい』
今も昔も、お母さんは私に意見をしてくる。
私のためを思って言ってくれているのかな・・
お母さんから言われると、
つい自分の気持ちが言えなくなってしまう。
『お母さんの言うとおりにしなきゃ』
そんな気がしてしまう。

『だからあなたはダメなのよ』
『ひとりじゃ何もできないんだから』
まだまだ、自分はできないことが多いのかもしれない・・
言われるたびに落ち込んでしまう。
『子どもだったら、もっと親孝行しなさいよ』
自分なりには頑張って
親孝行をしているつもり。
期待に応えたくて、精一杯頑張ってきた・・
だけど、
お母さんには私の気持ちは伝わっていないのかな・・
悲しい気持ちになる。
私はまだまだ、親孝行が足りないのかな。
もっと頑張らなきゃなのかな。
どれだけ頑張ったらいいのだろう・・

気が付くと、
お母さんのことを考えている。
『お母さん、どう思ったかな・・?』
『大丈夫かな・・?』
お母さんから連絡が来ると
怖くてドキドキしてしまう。
他のことが手につかなくなって、
とても焦ってしまう。
こんな状態が続いていて苦しい。
どうしたらいいんだろう・・」
このような状態になっていませんか?

親の顔色をうかがい、
気をつかいながら接しているのは疲れるし、
「ダメ出しがくるかもしれない」と考えると
不安になってしまいますよね・・
また、
親のことを考えて、
自分の気持ちを抑えたり
一生懸命に努力をしたりしているのに、
その気持ちや努力をわかってもらえていないようだと
子どもはつらくなってしまいますよね・・
親の感情や意見に振り回されて
頑張り続けてしまうことで、
心や体に不調が出てしまう方もいらっしゃいます。
あなたは大丈夫ですか・・?
生きづらさはありませんか?

「親が怖い・・」と教えてくださる方は、
親との関係だけでなく
生きづらさにも悩まれていることが多くあります。
人の顔色が気になってしまったり、
嫌われることが怖かったり、
自分で決めることが苦手だったり・・
あなたはどうでしょうか?
親の感情や言葉に振り回されて
さらに生きづらさも感じていらっしゃるようなら、
もしかしたらアダルトチルドレンさんかもしれません。
アダルトチルドレンとは?

「アダルトチルドレン」とは、
子ども時代に親や養育者との関係により
心が傷つけられてしまい、
大人になった後もなお、
その影響から
対人関係の難しさや生きづらさを抱え続けている状態を指します。
「アダルトチルドレン」は、
もともとは「アルコール依存症の親の元で育った人」を意味していました。
アルコール依存症の親の元で育った人には、
対人関係の難しさや生きづらさを持つことが多いことがわかっていたからです。
しかしその後、
虐待や機能不全家族の元で育った場合にも
同様の生きづらさがみられることがわかりました。
そして今では「アダルトチルドレン」は
アルコール依存症の親を持つ人だけでなく、
虐待や機能不全家族、過干渉などにより
子ども時代に心の傷が作られてしまい、
大人になったあとも生きづらさを抱え続けている人に対して
使われています。

本来子どもは、安心、安全を感じられる場所で
家族に守られながら成長することが理想です。
親に気持ちを認めてもらったり、
困ったことがあったら家族に助けてもらったりして、
愛情を感じながら
心も体も育んでいきます。
しかし、何らかの理由により
家庭が子どもにとって安心、安全な場所ではなかった場合、
子どもは親や養育者によって
悲しい経験やつらい経験をせざるを得なくなります。

小さな子どもにとって、
生まれ育った家庭はとても大きな影響力を持ちます。
「親が言っていることが正しい」と心から信じたり、
親からの愛情をもらうために
自分を犠牲にしてでも頑張ったりします。
どんなに心が傷ついても
逃げる場所もありません。
あなたの育った家庭はどうだったでしょうか?
アダルトチルドレンさんはみんな、
なりたくてなったわけではありません。
育った家庭の影響によって
心の傷つきも
生きづらさという重荷も持たされてしまっているのです。
アダルトチルドレンさんの特徴

アダルトチルドレンさんには
- 人の顔色が気になる。
- 嫌われることが怖い。
- 断ることができない。
- 頼むことが苦手。
- 人との距離感がわからない。
- 自分の意見を言うことが怖い。
- 否定されることが怖い。
- 自分の責任に感じてしまう。
- 「いい子」を演じてしまう。
- 完璧を求めてしまう。
- 自分の気持ちがわからない。
- 何がやりたいのかわからない。
などの特徴があります。
すべてのアダルトチルドレンさんが
すべての特徴を同じように持っていらっしゃるのではありません。
その方によって
持っていらっしゃる生きづらさの種類や強さは異なります。

私がお話していて感じるのは、
アダルトチルドレンさんはどの人も、
子どものころから
自分のことは後回しにしなければならなかったり、
自分の気持ちは無かったことにしなければならなくて、
「本当の自分をわかってもらえなかった」
「大切にしてもらえなかった」
という強い悲しさを抱えていらっしゃるように思います。
そして、
「人は信用できない」
という強い不信感を抱えていたり、
強い愛情飢餓感を感じていらっしゃったりします。
つらい時代を過ごさなければならなくて、
大人になった今も
その影響に振り回されてしまっているのですね・・
安心、安全でない家庭とは

このようなお話をすると、
「安心、安全でない家」というのは
親がつねに怒っていたり、
虐待が起きたりしている家庭を想像をされる方もいらっしゃいます。
しかし、
アダルトチルドレンさんのような状態に繋がってしまうのは
そのような家庭ばかりではありません。
たとえば、
・子どもに対する親の期待が非常に大きかった。
・過干渉だった。
・子どもに厳し過ぎるルールを課していた。
・子どもの前で夫婦喧嘩がよく起きていた。
などです。

また、
親の心が不安定なために
子どもが親の心をケアをしなければならなかった場合もあります。
本来は、子どもは親からケアをしてもらう側です。
しかし、親の心の安定のためには、
子どもが親の顔色をうかがい、
親を喜ばせてあげたり
なぐさめてあげたり、
機嫌をとってあげたりしなければならないケースもあります。
親子の役割が逆転していますよね。
このような場合も、
一見子どもは「しっかりしている子」と思われがちなのですが、
本来の自分を生きることができないまま
大人にならなければならないので
生きづらさを抱え続けてしまうことがあります。
「親が怖い・・」どう対応したらいいの?

「親を肯定しないと不機嫌になってしまったり、
ダメ出しをされてしまったりして怖い。
いつも怒らせないように気をつかってしまう。
頑張ってきたつもりだけど、
ダメ出しされて
もうつらくなてきた・・
このような親にはどう対応したらいいですか?」
こんな質問をいただくことがあります。
それで私は思うんですよね・・
きっとこの方は、
今までもずっと
「この話をすると機嫌が悪くなるからやめておこう」とか
「自分の気持ちを抑えて、言うとおりにしよう」とか
いろいろ努力をされてきたんだろうな・・と。
頑張って頑張って、
傷つきながらも言う通りにして、
言葉を選んで、
一生懸命に対応してきたのですよね。
だけど、まだ足りなくて、
「さらにどう対応したらいいのかな?」
と悩まれているのかな・・と。

決して、あなたが悪いわけではないのですよ。
そうせざるを得ない環境だったんですよね。
ただ、もしかしたら、
「どう対応したらいい?」
と親の感情や意見に合わせて考えていることが
なかなか抜け出せない原因のひとつかもしれません。
「親の意見に反することは言わない方がいい」
「親からの連絡はすぐに返した方がいい」
といった「親への対応方法」は結局、
親の気持ちや状況、価値観によって変化するものです。
そのため、
それらに合わせようとするほどに
親に振り回されてしまうのかもしれません。

それらはきっとあなたを疲れさせてしまうし、
根本からの解決にはならないのかなと思います。
また、あなたの重荷となっている生きづらさも
変わらない可能性があります。
だけど、
親に合わせなかったら・・と思うと憂鬱になってしまうかもしれませんよね。
では、
どうしたらいいのでしょうか・・?
「親が怖い」状態から抜け出すために

本来は守ってもらうはずの親のことを
「怖い」
と感じるということは、
きっとそう感じるだけのことが今までにあったのだと思います。
つらかったことや悲しかったこと・・
一度や二度ではないのかもしれません。
心が傷があり、それが今もそのままなのかなと思います。
傷つくつらさを知っているから
もう傷つかないように、
親に合わせたり
不機嫌にさせたりしないように
頑張ってしまうのかもしれません。

この状態を手放していくために大切なことは
自分の気持ちを見つめなおすこと。
そして、心の傷を癒しながら、
本来の自分の生き方を取り戻すことです。
アダルトチルドレンさんは
「本来の自分」を否定されたり、
「本来の自分」でいては怒られたり、
親を優先させるために抑えなければならなかった場合が多いです。
あなたはどうでしょうか・・?
本当のあなたは、どんな「あなた」なのでしょう?
いつのまにか、
わからなくなっていませんか・・?
着実に、ひとつひとつ重荷を下ろしていきながら、
本来の自分を取り戻すこと。
そして、怖さの根っこにある問題をほどきながら
本来の自分の人生を取り戻すことが大切です。
アダルトチルドレンさんでも変われるの?

「アダルトチルドレンは変われますか?」
というご質問もいただきます。
「アダルトチルドレン=人生終わり」
では決してありません。
「変わりたい」
「抜け出したい」
という気持ちがあれば、
いつからでも「自分らしい人生」に向けて歩み出せます。
実際に私も
大きく人生を変えたひとりです。

きっとこのコラムを読んでくださっているあなたは、
「親の感情や価値観を優先させなければならない生き方」から、
「自分の感情や価値観を大切にする生き方」に向けて
すでに歩んでいらっしゃるのだと思います。
だから、
このコラムを読んでくださっているのですよね。
もう、タイミングなのでしょう。
本当は子どもも、
自分の感情や価値観を大切にしながら生きていいのです。
「親が怖い」という感情も、
アダルトチルドレンさんの生きづらさも解消させながら、
自分の感情や価値観を大切にできる生き方へと進みましょうね。